AI 時代の業務改善は、「パワポを速く作る」ことではない
McKinsey が始めた、静的資料から動的 Web ハブへの移行。報道で見えてきた本質と、Lovable で自社に持ち込む現実的な手段。

生成 AI を導入する企業の多くは、最初に「PowerPoint を速く作りたい」「Excel を AI に書かせたい」と発想します。間違いではありません。ただ、報道で見えてきた最前線の動きは、もう一段先にあります。コンサルティング業界の象徴的存在である McKinsey が、業務の中心を「静的な資料」から「動的な Web ハブ」へ移し始めた、という変化です。
報道で見えてきた変化
Business Insider は 2026 年 6 月、McKinsey のコンサルタントが AI を活用して PowerPoint への依存を減らしている、と報じました(報道ベース)。Senior Partner の Kate Smaje は、ここ数か月で PowerPoint の利用が大きく減ったと述べています。重要なのは、PowerPoint が消えたわけではない、という点です。最終的な提出物の一形態として残りつつ、「日々の作業がそこで進む場所」ではなくなりつつある、という位置づけの変化です。
同じ報道では、Partner の Louis-Charles Généreux が、北米の大手ケーブル企業向けに "client visualization hub" と呼ぶ AI 補助のサイトを構築した事例が紹介されています。約 70 名が関わるプロジェクトで、最新情報、分析、図表、ドキュメントを 1 つの Web ハブに集約し、関係者全員が検索可能な同じ情報源にアクセスできるようにした、というものです。サイトの更新自体にも AI が使われ、週次の podcast 形式の要約とメモが生成される仕組みもあるとされます。配信基盤は Platform McKinsey と Cloudflare、認証は McKinsey credentials による限定アクセスです。
ここで一点、誠実に補足します。McKinsey の公式ページ(公式公表)で確認できるのは、QuantumBlack を "AI by McKinsey" と位置づけ、生成 AI の実験・テスト・導入・スケールを支援している、という記述までです。Business Insider が報じた "client visualization hub" の具体事例そのものは、現時点で公式ページ上では確認できません。本記事は、報道ベースの一次情報を入口に、業界全体の方向性を考えるための材料として扱います。
本質は「スライド生成の高速化」ではなく、「業務の Web 化」

PowerPoint・Excel・Notion・Slack・メール・Google Drive。多くの組織で、業務情報はこれらに分散しています。それぞれは優れたツールですが、組み合わさると、検索性・更新性・権限管理・バージョン管理に構造的な限界が出てきます。誰が最新版を持っているのか、外注先と共有してよい範囲はどこまでか、議事録と提案書とダッシュボードの数字は本当に同じ前提を見ているのか。これらを毎週確認するコストは、決して小さくありません。
Web ハブ化、つまり業務情報を 1 つの Web アプリに集約する設計は、これらの問題を構造として解きます。最新情報・分析・資料・議事録・ダッシュボード・AI 要約を 1 か所に置けば、関係者は同じ情報源を見ることになります。検索可能で、更新時刻が記録され、権限で見える範囲が制御され、API で他システムと接続できる。いわゆる single source of truth が、その業務のために存在することになります。
ここで誤解されやすいのですが、これは「全社統一の巨大ポータルを構築せよ」という話ではありません。プロジェクト単位、案件単位、顧客単位の小さな Web ハブを、必要に応じて短期間で立ち上げ、用が済めば畳む、という運用が現実的です。McKinsey の事例も、1 つの大型クライアント案件のために構築されたものです。
Lovable で短期間に試作できる、業務 Web アプリの形
Lovable は、業務に合わせた Web アプリを短期間で試作・改善できる手段です。たとえば次のような形は、現実的に短期間で立ち上げられます。
- プロジェクト可視化ハブ(進捗・成果物・関係者・ダッシュボードを集約)
- 顧客向けポータル(案件状況・資料・請求情報を顧客と共有)
- 営業・CS・採用などの業務管理アプリ(既存 SaaS では合わない部分の補完)
- 経営ダッシュボード(複数システムの数字を 1 つの画面に)
- 社内ナレッジベース(権限付きの検索可能な知識集約)
- AI 要約・AI 検索・AI レポート生成を組み込んだ業務アプリ
- 業務 MVP(運用に乗せる前に、まず動くものを作って検証する)
公平に書くと、Lovable は万能ではありません。複雑なエンタープライズ統合、極端に重い計算処理、長年の独自業務ロジックを丸ごと載せる、といった領域は、ツールだけで解けるものではなく、設計・統合・運用の判断が必要です。逆に言えば、「業務の中心になる Web ハブを最短で形にして、運用しながら磨いていく」という用途では、現時点で最も有効な選択肢のひとつです。
Nihonbashi AI Lab が支援できること
私たちの役割は「画面を作ること」ではありません。Lovable を含む AI 駆動開発ツールを使って、業務の中心になる Web アプリを設計から運用まで支援することです。具体的には次の 4 軸で関わります。
- 業務設計:何を Web ハブ化すべきか、どの業務から始めるべきかの整理
- データ構造・権限設計:誰が何を見られるべきか、後から変更できる形で組む
- AI 活用設計:要約・検索・分類・レポート生成を、現場が使える形で組み込む
- 運用導線:公開後の改善サイクル、社内導入、チーム教育まで
Supabase / Stripe / 認証基盤 / 外部 API との統合、観測性や課金の設計など、Web アプリを「動くプロトタイプ」から「業務に乗る本番」へ持っていく実装経験を、Lovable 公式パートナーとして提供します。
自社版の「client visualization hub」を作れるか
McKinsey の事例は、特別な技術が使われているわけではありません。Web ハブに業務情報を集約し、AI で要約と検索を強化し、認証で関係者を絞る、という構成です。同じ思想は、規模を変えればどの組織にも適用できます。違いを生むのは、ツールではなく、「何を Web ハブ化すべきか」を選ぶ判断と、運用に乗せきる体制です。
PowerPoint や Excel で回している業務の一部を、Web アプリ化することで、関係者全員が同じ情報を見られるようにできないか。これを 1 つの問いとして、ご相談ください。
PowerPoint や Excel で回している業務を、Lovable で Web アプリ化できるか相談する
お問い合わせ出典
- 報道ベースMcKinsey consultants are using AI to end their dependence on PowerPointBusiness Insider・公開 2026.06.10・取得 2026.06.21
- 二次報道McKinsey Staff Are Replacing an Essential Part of Work with AIEntrepreneur・公開 2026.06.11・取得 2026.06.21
- 公式公表Generative AI — Artificial Intelligence (QuantumBlack)McKinsey & Company・取得 2026.06.21
本記事は「報道ベース」の一次情報を入口に、業界動向と Nihonbashi AI Lab の視点を整理したものです。報道で言及された個別事例の細部は、原典をご確認ください。